医師と患者の治療法の合意
夫の前立腺がんについて書いたブログを読んだ方から電話をいただきました。どちらの方か、お名前は分かりません。でもとてもご心配の様子でした。
その方の夫が前立腺がんの診断を受け、担当医から「腹腔鏡手術をします」と言われ、日程も決まっているそうですが、できれば手術は避けたいと毎日悩んでいて、ご本人はノイローゼ寸前とか。同じ60歳代でも夫よりずっとお若いようです。
通院中の病院は夫と同じですが、担当の医師は違います。夫の場合はK大学病院の前立腺腫瘍専門医の一人で、がんの診断時はもとよりその後の対応についてのインフォームド・コンセントは私たち夫婦が納得できるものでしたが、電話の方の場合は医師が一方的に決め、患者との間で治療法についての合意ができていないのです。
前立腺がんと言うと、ほとんどの人が、「年をとった男性には多いらしいし、進行も遅く手術して取ってしまえば大丈夫なんでしょ?」と軽く言います。日本では3人に1人はがんにかかると分かってはいても、がんと診断された本人にとっては晴天のヘキレキなのに。
日本のがん治療は、まず手術をして、その後放射線やホルモン療法というのが一般的のようですが、放射線医療、緩和ケア専門医の東大病院准教授、中川恵一さんの著書などによれば、今、欧米ではまず手術ではなく、放射線治療が標準的な治療となっているといいます。もちろん、治療法の選択は患者によってがんの進行度やがんの種類、年齢も立場も違うし、ひとくくりにはできません。
昨年も書いたのですが、夫の担当医は夫と私に前立腺がんを告知した後、その後の対応及び治療の選択肢について、
1、このまま何もしない
2、ホルモン療法
3、手術 (開腹or腹腔鏡)
4、放射線治療
の4点とそれぞれの治療後に出るかもしれない副作用、また後遺症についての説明を行い、
「前立腺がんは進行が遅いのですが、80歳を超えているならともかく、ご本人の67歳という年齢を考えると、このまま何も治療をしないという選択はないだろうと思いますし、ホルモン療法はがんを完治させることが難しいので、1と2は積極的には勧められません。3か4のどちらかの選択がいいのではないかと考えます。」と専門医としての見解を話されました。
さらに、「私への質問には何でもお答えします。また今はインターネットや出版物などで情報がたくさん取れます。ご主人の人生ですから最終的にどのような治療法を選ぶかはご主人がお決めになることですが、ぜひご家族も一緒に調べて相談なさってください。」と明るく締めくくったのです。
検査からずっと不安な毎日を過ごしていた私たち夫婦にとって、信頼できる医師に出会えたことは本当に良かったと思います。
娘たちも一緒に本やインターネットなどで情報を得た結果、夫は放射線照射を選択し、35日間の通院による治療を受けました。トモセラピーによる治療がいいのではないかとも考えたのですが、病院が遠いことや治療を受けるまで3ヶ月以上も待たなければならないため、本人はやはり不安で待ちきれなかったというのが実情でした。
夫の場合、急性の副作用は頻尿、膀胱炎、尿漏れ、倦怠感、一時的ですが食欲不振、また常に下半身に違和感のある症状が出ました。照射後も2ヶ月ほどは頻尿、下半身の違和感が続きました。現在は全くありませんが、照射後6ヶ月くらいに直腸からの出血など慢性の副作用が出るかもしれないと放射線担当医から言われているので、その不安は残っています。
夫のPSA検査の数値は、放射線治療が始まった9月14日で7.1でしたが、治療が終了した11月6日で5.78になっていたことが、今年2月の診察日に分かりました。2月の診察日の検査の結果は5月の通院時に知らされますので、いずれも3ヶ月のタイムラグが生じています。
手術の場合は割合早く結果が出るということですが、放射線治療を受けた場合は、照射が終わって6ヶ月後にようやく治療の結果が出てくるのだそうです。5月にはさらに数値が下がっているよう祈る毎日です。
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